映画『オッペンハイマー』を見た
映画『オッペンハイマー』を見たので感想を書く。 ネタバレを含むし、歴史的な検証は置いておいて映画での印象を書いている。
あらすじについて
オッペンハイマーは原爆の父と呼ばれる、アメリカでの原爆開発に大きく貢献した人物である。 大きく2つの軸で展開される
- オッペンハイマーに嫉妬する、ストローズという人物が氏の権威を失墜させるために開いた評議会のシーン
- オッペンハイマーがどのように原爆開発に携わったか、というシーン
感想
オッペンハイマーの苦悩
前評判ではなぜかCool Americaな感じに聞いていたが、どちらかというと、オッペンハイマーの苦悩が多かった。 全く知らなかったけど、女遊びが多いのですね。
オッペンハイマーほどのポジションになくても、なんらかの合理性のために個人の倫理観が置き去りになることはあると思う。 全く同じテーマで(つまり、「より大きな善のために」という話で)社内で議論したばかりだったので、共感できる部分が多かった。
功利主義をもう少し勉強したいな。インターネット知識初級:トロッコ問題 についても回答を持ってないため。
ストローズについて
なんでストローズをベースラインにおいた? 正直場面が行ったり来たりしてわかりにくかった。
また、最後は愛が勝つみたいな感じで、オチにも不満がある。 いい奥さんに愛されてよかったな!
理物に求めるもの
大佐「核爆弾で世界が壊れるってほんとう?」 オッペンハイマー「その確率はほぼゼロですよ 我々に何を望んでるんですか」 大佐「ゼロになることだよ」
みたいなやり取りがひどくてよかった。
ビッグバン★セオリー
『ビッグバン★セオリー』というドラマがある。 主人公は理物で主人公の友人は実験物理をやっている設定。
ビッグバン★セオリーでの理物のほうが偉いという雰囲気は、きっとオッペンハイマーが築いたものだろうなと思った。
また、ビッグバン★セオリーの主人公は幼少期に共産主義的な発言をして、批判されるシーンがあった。 オッペンハイマーにもあり、アメリカは自由の国と言われるが、そういった思想統制は結構あるよなあと思った。
原爆についての心境
これは作品に直接関係ないかもしれない。
中学生のときに行った原爆資料館は悲惨すぎて目を向けられなかった。 事実を突きつける写真が、非核への願いを強めた。ただ、「ならぬことはならぬ」という印象だった。
一方「オッペンハイマー」は3,000メートルの火柱などほとんど人を写さない形でその威力を表現していた。 被曝の時間経過や、爆風が虐殺兵器としての側面を強く伝えていた。二度と見たい映画ではないな……。
視聴しての感想として、オッペンハイマーには強く否定的な態度に出ることはやっぱり難しいと思う。 日本も叶わなかったが、原爆を開発していた。映画を信じるとドイツが核実験を成功させたのは、各国に大きな影響を与えたんだろうな。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%88%86%E5%BC%BE%E9%96%8B%E7%99%BA
この過ちから何かを学んで、次に活かすことしか我々にはできないが、「時代の流れ」や「より大きな善のために」というのに逆らう方法は何もわからない。やってくだけ。 偉大な映画監督が核や戦争の愚かしさを伝える作品を残したこと、それが平和につながることを信じたい作品でした。